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キャッシュ・フロー会計を学ぶ⑭ 「手元キャッシュ・フロー」5


こんばんは。所長の山本誉です。

お正月が明けたと思ったら、もう1月も残り数日ですね。 コロナの感染拡大も収束する気配がなく、 当面は、まだまだ在宅ワークが中心になりそうですね。

私も在宅ワーク続きで、足腰がかなり固くなってます。 少し皆様も体調管理にはお気を付けください。

さて、前回は、 「現金預金等増減額」を「手元キャッシュ・フロー」という4つ目のキャッシュ・フロー と位置付けるとともに、下図の 「CF相関図」 を使って、各キャッシュ・フローのバランス改善を考えることにより、 手元資金を増やし、経営改善方策を検討することを書きました。

上記の「CF相関図」は、「CF計算書」に沿って作成したものですが、 この「ボックス形」にすると、面白いことが思いつきます。


たとえば、現下の新型コロナの感染拡大や、災害等により、

営業自粛を余儀なくされて、今後の売上がまったく見通せないという状態を考えてみましょう。

この場合、営業CF(本業による儲けの資金)が今後どうなるかまったく予測不能 場合によっては、赤字が続くかもしれない。 しかし、営業再開に備えて、必要な最低限度の設備投資(投資CF)だけは、 固定的に支出しなければならない。 そこで、何とか事業を継続(生き延びる)ためには、

借入金により「手元資金をダムのように蓄えて」おき、 少しずつ不足資金に充足するようにして生き延びる。 または、多額な借入返済がある場合には、返済の猶予・減額を行って、 手元資金の流出を防ぐ。 つまり、「手元キャッシュ・フロー」を「固定させる」(計画的にダムの水を流す)

そして、その調整弁として、借入金による資金調達や借入金の返済猶予・減額等の 「財務キャッシュ・フロー」による資金コントロールを行う ことが、一つの「サバイバル戦略」として考えられると思います。


このような場合、 4つのキャッシュ・フローの位置を入れ替えてみる と面白い結果が見えてきます。 たとえば、下図がその例です。

・蓄えた「手元CF」を一定量計画的に不足資金に回す(固定する)。 ・最低限必要な設備投資等の「投資CF」も固定される。 ・売上が予測不能なので「営業CF」は予測不能。 ・最後に残った「財務CF」(借入金による資金調達・返済額のコントロール)を

 調整弁としてうまくコントロールする。 「手元資金」(手元CF)が事業継続、生き延びるためには最重要と考えて、 ボックスの左上に配置し、最後の調整弁となる「財務CF」は右下にもってくる。 このようにしてボックスを作成してみてみると、

各キャッシュ・フローの「見え方」が変わりませんか? それこそが、「CF相関図」を作る効果であり、 「キャッシュ・バランス」改善による「サバイバル方策」を 見出すのに役立つツールだと思うのです。 ところで、各CFの位置を変えたCF相関図の真ん中にある、 「?」は何を意味するキャッシュ・フローでしょうか。 通常であれば「FCF」になるのですが、各キャッシュ・フローの位置が違うので、 当然、FCFではないですよね。 この先は、また次回。

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