キャッシュ・フロー会計を学ぶ⑰ ソニーのケーススタディ②

更新日:2021年2月8日

こんばんは。所長の山本誉です。

この記事を書いている最中に、10都道府県の緊急事態宣言が、 3月7日まで延長されるとの政府方針が発表されました。 新型コロナ感染拡大の影響により、想定はしていましたが、 これでまた、飲食店やカラオケ店等が大変な経営状況を強いられることになると思うと、

暗澹たる気持ちになります。 しかし、今こそ、企業や個人事業主が「事業を継続させる」ためには、

業種・業態転換を図っていく時期であるとも思います。 経営者の皆様、頑張ってこの苦境を乗り越えましょう。

さて、業態転換を上手く図って成功している企業の例として、

前回に続いて、「ソニー」の事例を取り上げたいと思います。


ソニーでは、現会長兼社長CEOの吉田氏が就任する前までは、

ゲーム事業については、「販売型」(売り切り型)のビジネスモデルでした。 しかし、新型ゲーム機を出した年は、従来機が売れなくなり、収益が落ち込む。 そのため、新型機の開発コストがかさむ移行期間の発売初年度はジッと耐え、

ソフト販売も含めて後から果実を刈り取る、ということを行っていたのです。 このために収益が安定せず、

単年の目標を達成するためだけの持続力のない利益

しか出せていなかったのです。 そこで、ゲーム事業を「販売型」から、オンライン対戦などが楽しめる「有料会員サービス」へと

軸足を移していきました。キーワードは、「人に近づく」

利⽤者に近づくDTC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)を強化したのです。

こうしたサービスへの移行は、「サブスクリプション」とか「リカーリング」と呼ばれる、

「継続課金モデル」への移行です(この場合は、定額課金ではないので「リカーリング」)。


このビジネスモデルの移行により、ゲーム事業は大きな開発費用が不要となって、

投資CFを大幅に抑えながら、安定的かつ高い営業CFを生み出す事業に成長させたのです。 (参考:2019年度ソニー決算説明会資料) しかし、ソニーの過去5年間をみると、投資CFがどんどん伸びています。 これは、


ゲーム事業で営業CFを稼いでいるうちに、次の主力事業と見込んでいる 「イメージング&センシング事業」に多額の設備投資を行い、

「花形事業」から「金のなる木」にしようとしているため


です。 「CMOSイメージセンサーはIoT、AI、自動運転等の将来技術の展開における

キーデバイスと認識しています。人が生きる現実世界を向いたデバイスであり、

当社がCCDの時代から長年培ってきたアナログの技術が競争力の源泉です。

CMOSイメージセンサーで、イメージングNo.1を維持しセンシングでもグロー

バルNo.1となる」 という方針を吉田氏は述べ(ソニー「2018年度決算方針説明会」)、 この事業分野への設備投資額を、全事業の設備投資額の約50%まで 行っているのです。そのため、投資CFが毎年増加しているのです。


             図表 2019年度決算説明資料(抜粋)















以上のような、ソニーの吉田会長兼社長CEOの経営改革手法を考察しながら、 この方は、経営者ながら、会計学に非常に精通した人だと思って経歴を調べていたら、 会長兼社長CEOになる前に、副社長兼CFO(財務最高責任者)。それ以前にも、

子会社のCFO経験あり)だったということを知り、なるほどと思った次第です。 会計というのは、使う人、使い方で、経営の強力な武器になる。 そうあらためて思いました。 【お知らせ】

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