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経営改善の進め方⑫ パターン別経営改善方針

更新日:2021年3月21日

こんにちは。所長の山本誉です。

今日の首都圏は雨、緊急事態宣言も今日までで解除されますね。 しかし、解除されても、飲食店の営業時間は夜9時までに自粛されるので、

お店の経営者の方は悩ましいところだと思います。

私は、1時間多く飲めるので助かりますが。苦笑



さて、今回は、前回分類したパターン(下図)にしたがって、

その経営改善方針の立て方(方向性)について説明します。


























(1) Ⅰ型企業の方針

Ⅰ型の企業は、「FCF不足」、「債務超過」、「収益力あり」、「過剰債務」という状況であり、

その多くは、収益力はあるものの、過剰債務による借入金過多のため債務超過となり、

また、借入金返済が多くてFCFではカバーできない状態となっている企業です。


Ⅰ型の場合には、過剰債務が主たる経営課題であって、そのため資金が厳しい状況が起きているため、まずは、金融機関に対する返済条件の変更申入れ(当面元本返済は据え置き又は減額、利息のみの支払とする、など)を早急に行います。


その後、過剰債務に関しては、収益力の向上でカバーするのか、過剰な債務の減免・返済期間の長期化交渉を行うのかを、経営計画の策定を通じて検討します。



(2) Ⅱ型企業の方針

Ⅱ型の企業は、「FCF不足」、「債務超過」、「収益力不足」、「過剰債務」という状況であり、会社が経営破綻寸前の、非常に厳しい状況に直面している緊急事態の企業です。


Ⅱ型に陥る多くの企業は、収益力不足から債務超過、FCF不足に陥り、借入金による資金調達により何とか事業を継続してきたものの、借入金が膨らんで過剰債務となり、事業の運転資金も借入金の返済も困難な状況に陥っている企業です。


Ⅱ型の場合には、経営破綻を回避して企業を延命させるため、

応急措置として早急に資金の流出を止めなければなりません。

そのためには、


①金融機関に対する返済条件の変更申入れ(当面元本返済は据え置き、利息のみの支払とする、など)

②人件費などのコスト削減、を早急に実施する


ことにより、資金の流出を止めた上で、経営計画を策定し、

中長期的に抜本的な経営改善を目指すことになりますが、

収益力の向上と過剰債務の減免・返済長期化が経営改善の成否を担うこととなります。



(3) Ⅲ型企業の方針

Ⅲ型の企業は、「FCF不足」、「債務超過」、「収益力不足」、「過剰債務なし」という状況であり、

金融機関からの借入金や返済負担は過剰といえるほどないが、

収益力不足により債務超過、FCF不足に陥っている企業であり、

本業での営業利益がほとんど出ていない企業です。


Ⅲ型の場合には、売上を上げるか、経費を削減して、利益を出すことが喫緊の課題となります。

運転資金が厳しい場合には、金融機関に対する返済条件の変更申入れ(当面元本返済は据え置き又は減額、利息のみの支払とする、など)を行い、人件費等の経費の削減を実施しつつ、

売上・利益拡大の方策を経営計画の策定を通じて検討します。



(4) Ⅳ型企業の方針

Ⅳ型の、「FCF不足」、「債務超過ではない」、「収益力あり」、「過剰債務」という企業の場合、収益力はあるが、過剰な債務の返済をカバーするだけのFCFが不足しているという状況です。


Ⅳ型の場合、過剰債務が経営課題となっているのであるから、金融機関に対する返済条件の変更申入れ(当面元本返済は据え置き又は減額、利息のみの支払とする、など)を行いつつ、収益力のさらなる向上、過剰な債務の減免・返済期間の長期化交渉につき、経営計画の策定を通じて検討します。



(5) Ⅴ型企業の方針

V型の、「FCF不足」、「債務超過ではない」、「収益力不足」、「過剰債務」という企業の多くは、

以前は業界・業種的に、売上や利益、FCFも充分に出すことができたため、

金融機関からの融資も受けやすく借入債務も増やした後、

当該業界・業種が市場環境などの影響を受けて衰退したため、

売上や利益、FCFを十分に出せない状況となっている企業です。


Ⅴ型の場合、本業が利益を生み出せない状況となっているため、

本業に関連する派生事業や、本業とは全く関係のない新規事業への展開を考える必要があります。


そのため、金融機関に対する返済条件の変更申入れ(当面元本返済は据え置き又は減額、利息のみの支払とする、など)を行いつつ、派生事業や新規事業への展開による収益力やFCFの向上の可能性、過剰な債務の減免・返済期間の長期化交渉につき、経営計画の策定を通じて検討すします。


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