top of page

事業承継の進め方⑪ 経営と資金繰り4 決算書が読めない

こんにちは。所長の山本誉です。

新型コロナが日本で蔓延し始めてから1年余り。

この間、「テレワーク」や「巣ごもり生活」が続いたため、

考えてみればこの1年あまり、「外出用のスーツやシャツ」などの

ビジネス用被服をほとんど購入していないことに気がつきました(苦笑)。

そのため、飲食店や接客を伴うサービス業とともに、アパレル業も大変な時期です。


前回のブログで述べた、アイリスオーヤマに倣って、

私たちも、いかなる状況でも利益を出せる仕組みを作ること、利益を出していくことを考えて、

事業をより良く構築していきましょう。



さて、今回のブログは、事業承継において必要となる「経営と資金繰り」の知識のうち、

中小企業の資金繰りが苦しい場合の原因の理由の一つ「決算書が読めない」ということについて、考察していきたいと思います。


4.決算書が読めない

事業計画や資金繰り表を作っていない経営者のほとんどが、「決算書を読めない」と言っても

過言ではありません。


かろうじて、資金繰り表だけは作成していても、

それは、「資金不足にならないように」という目的のためだけに作成していることも多く、


たとえば、固定資産と消耗品費の支出を行った場合、

資金繰り表には、その品目名と金額のみが記載されますが、固定資産の支出については、

損益に影響をおよぼさないということが理解できません。


したがって、多額の設備投資を行って支出が多い年でも、決算書を作成してみると、

最終利益が大幅に黒字になっていることがあります。


しかし、それを見た経営者は、


「これほど利益が出ているのに、なぜ資金繰りが厳しくなっているのか」


と首をかしげ、顧問税理士に説明を求めたりします。


ところが、質問された顧問税理士も、経営者が決算書を読む力がないことがわかっているため、

経営者に納得のいく説明をすることが難しく、結局、経営者が、「わかったようなわからないような」

状態で原因究明をスルーしてしまう、という結果になります。


これが、いわゆる「利益と資金の混同」の一例です。


ところで、余談になりますが、私が、これから起業を目指す人に、


「何から勉強すればいいですか?」


と聞かれた場合に、必ず答えているのが、


「簿記3級の資格を取ってください!」


ということです。


しかし、それを聞いた当人は、必ずと言っていいほど

「わかりました。それでは書店に行って、簿記3級のテキストを買って勉強します」

というのです。


それに対して、私は

「それだけは絶対やってはダメです。『簿記3級程度なら、書籍による自宅学習のみで十分』と

タカをくくる人が多いのですが、そういう人は途中でほとんど挫折します。

運よく簿記3級に合格しても、簿記の基本や体系的な理解が薄いから、実務では使えません。

『泳ぎ方の本を買ってきて、畳の上で泳ぎ方の練習をする』のと同じ結果になり、

実際に水に入ると、泳げないのと同じです」


「必ず、資格専門学校等の簿記3級の『通学コース』に申し込んで、

熟練した講師からしっかり教えてもらって勉強してください。

そして、わからないところがあればすぐに講師に質問して、理解するようにしてください。

これなら必ず、簿記3級は取れるし、実務でも使える知識・能力が身につきます。

期間はわずか2か月程度です。もし、どうしても専門学校等に通学ができないときは、

せめて簿記3級のWEB講座またはDVD講座を受講してください。

書籍による独学だけは絶対やめてください」


「さらに、可能であれば、同じ方法で簿記2級まで取ってください。

結果的に簿記2級に合格しなくてもいいので、簿記2級、それも商業簿記だけでも

資格専門学校等でしっかり勉強してください。

それが、後に経営者になったときに、必ず役立つ知識・技能になります。

高額の起業セミナーに参加するよりも、はるかに役に立って、

コスト・パフォーマンスも抜群です」


と答えることにしています。


簿記3級、さらに簿記2級レベルの知識があれば、決算書の理解も容易になりますし、

経営計画の策定や事業計画の策定も容易になります。


また、起業して間がなく、人を採用する余裕がない時期に、

経営者自らが会計ソフトに入力して「自計化」することで、

「仕訳」の切り方から「決算書作成」までの流れが「実感」として理解できるようになり

その経験が、B/SやP/L改善の能力を高めることになるのです。


ちなみに、私の知人の金融機関出身の方で、

「決算書は読めるが、簿記は学んでいない」という方がいます。


この方は、B/SやP/Lの財務分析は得意です。

しかし、どの勘定科目をどのように改善すれば、B/SやP/Lが最適化されるか、

また、最適化された後のB/SやP/Lが頭の中で描けないのです。

これは、B/SやP/Lの作成過程である「簿記(仕訳の切り方)」を学んでいないからです。


経営者の最も重要な仕事は、事業活動の成果の写像であるB/SやP/Lの最適化であり、

そのための事業戦略思考です。

そこで必須になるのが、簿記の知識であり、決算書が読める能力なのです。



【お知らせ】

著書、「手元資金を増やす中小企業の経営改善の進め方」が、

今年1月14日に中央経済社から出版されました。全国の大型書店やAmazonで購入できます。

事業承継における経営改善に向けて是非ご一読ください。

(下の画像をクリックするとAmazonの紹介・購入ページが開きます)


最新記事

すべて表示
bottom of page