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事業承継の進め方㉘ 事業計画の策定2

こんにちは。所長の山本誉です。

今回も、このブログでは、事業承継、経営改善のための、

「事業計画の具体的策定方法」について説明していきたいと思います。 3.「損益計画及び資金計画(CF計画)」(第二表)の策定

「基準月商及び最低手元資金算定表」(第一表)で最低手元資金の金額を把握したら、

次に「損益計画及び資金計画(CF計画)」(第二表)を策定します。


企業を発展させるためには目標FCFを増大させることが最も重要であり、

また、FCFを増大させるためには営業CFを高めることが何より重要でした。


そして、営業CFの中長期的な向上計画を策定するには、営業CF算定のベースとなる

中長期的な「損益計画」を策定する必要があります。


なお、損益計画の策定は、以下の各項目を検討しながら行います(図表2参照)。















(1) 可能な限りの販管費(人件費等の固定費等)の削減

営業利益を増加させるには、

「売上高を上げる」、「売上原価を下げる」、「販管費を下げる」

という3つの手段がありますが、とくに事業継続が困難に陥っている企業の場合には、

まず販管費(販売費及び一般管理費)を下げることを検討します。


売上高を上げる、あるいは、売上原価を下げることは、実現可能性が不確定なことと、

効果が現れるまでに時間のかかることが多いからです。


それに比べ、販管費を下げる場合には、どの項目をいつから削減すると決めることにより、

ほぼその通りに削減が実施でき、営業利益を確実に増加できるからです。


販管費を下げる手順としては、

当該企業にとって事業継続への影響が少ない経費項目の削減から検討します。

具体的に削減対象とする項目は、実施している事業への影響度によって異なるため、

企業ごとに違ってきます。


一般的には、事業上は現在不要ながらも支払い続けている経費、同業他社に比べて

突出している経費、販管費に占める比率の多い経費の削減を検討するのが効果的です。


また、販管費の削減における最も重要な経費項目は「人件費」です。

役員報酬、社員給与、パート・アルバイトの雑給などを削減することができれば、

法定福利費などの関連経費も削減することができます。


販管費に占める人件費の割合の高い企業も多く、人件費の削減が営業利益の創出、

さらには、経営改善の重要な改善ポイントとなることも少なくありません。


しかし、人件費の削減については、

労働法上の労働契約の問題や退職金などの問題が関係してくるため、

慎重に検討を行う必要があります。



(2) 売上原価の削減(仕入、製品の原価率下げる)

販管費の削減の検討の次に行うのは、売上原価の削減です。

製造業の場合は、製造原価に係る製造経費別に削減検討します。


また、小売業などの仕入販売を行う企業の場合には、仕入単価、仕入数量の調整による

売上原価の削減、原価率の削減を検討します。


しかし、販管費の削減の場合と違い、売上原価の削減には、仕入先などの関係者の協力や、

新たな仕入先の開拓交渉など、自助努力だけでは実行できないことも多いため、

そのことを踏まえて削減計画を検討します。



(3) 売上高の向上

最後に行うのは、売上高の向上です。売上高の向上には、大きく分けて3つの方法があるため、

以下にそれを述べます。


① 既存事業の見直しによる売上高の向上

売上高向上のためにまず行うのが、現在行っている事業(既存事業)の見直しによる、

売上高の向上であす。


売上高は、「売上単価(売値)」と「売上数量(客数)」によって決まる

(売上高=売上単価×売上数量)ため、売上単価や売上数量を同業他社と比較しつつ、

売上単価が低ければ売上単価のアップ(値上げ)を検討します。


また、売上数量が低ければ、新規顧客の集客や、既存顧客のリピート率の向上策を検討します。



② 派生事業(既存事業関連事業)の検討による売上高の向上

既存事業の業界が飽和状態であるか、衰退産業となりつつある場合には、

既存事業の経営資源を利用して実施できる、既存事業との関連性の高い「派生事業」の検討

による売上高の向上を検討します。


例えば、ガソリンスタンドで車検を行う、旅館業で貸会議室事業を行う、などが該当します。


派生事業は、本業である既存事業との関連性が高い事業であるため、

既存事業の経営資源を活用することにより新たな設備投資が不要または少額で実施でき、


さらに、既存事業に関する経験やノウハウも派生事業に活用できるという点で、

リスクが少ないのが特徴です。


そのため、既存事業の売上高の向上が難しければ、派生事業の実施による売上高の向上を

検討します。



③ 新規事業(全く新たな事業)の実施による売上高の向上

既存事業の改善や派生事業の実施によっても売上高の向上が難しい場合には、

既存事業とは全く関連性のない「新規事業」の検討による売上高の向上を検討します。


例えば、遊休不動産を所有している企業が不動産賃貸事業を行う。

全く業界の違うフランチャイズ事業に加盟・参入するなどがそれにあたります。


技術革新や産業構造の変革が激しい昨今では、既存事業が時を置かずに

衰退産業となってしまうことも珍しくありません。

そのため、既存事業や派生事業に変わる新規事業を検討して実施していくのです。


しかし、新規事業は、既存事業とは関連のない事業へ参画するということから、

多額の設備投資や、当該事業に対する経験やノウハウの不足という事業実施上のリスクが

伴うことが少なくありません。


したがって、新規事業を検討する場合には、既存事業の改善や派生事業の検討以上に、

慎重な検討を必要とします。


④ 借入金利息の金利低減

利益増加施策には、図表2に記載された借入金利息の金利低減を、金融機関等に要求する

という方法もあります。


金利低減は営業外費用の支払利息を減額することとなり、経常利益以下の利益を増加させます。

企業の借入金の金利が高く、かつ、借入金残高が多い場合には有効な方法です。


具体的には、借入金の金利低減による利益の増加額をシミュレーションしながら、

それが経営改善にとって有効であると考えられる場合に、金融機関等にその結果を示しながら、

金利低減の要求を行います。




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