こんにちは。所長の山本誉です。
新型コロナが日本で蔓延し始めてから1年余り。
この間、「テレワーク」や「巣ごもり生活」が続いたため、
考えてみればこの1年あまり、「外出用のスーツやシャツ」などの
ビジネス用被服をほとんど購入していないことに気がつきました(苦笑)。
そのため、飲食店や接客を伴うサービス業とともに、アパレル業も大変な時期です。
前回のブログで述べた、アイリスオーヤマに倣って、
私たちも、いかなる状況でも利益を出せる仕組みを作ること、利益を出していくことを考えて、
事業をより良く構築していきましょう。
さて、今回のブログは、事業承継において必要となる「経営と資金繰り」の知識のうち、
中小企業の資金繰りが苦しい場合の原因の理由の一つ「決算書が読めない」ということについて、考察していきたいと思います。
4.決算書が読めない
事業計画や資金繰り表を作っていない経営者のほとんどが、「決算書を読めない」と言っても
過言ではありません。
かろうじて、資金繰り表だけは作成していても、
それは、「資金不足にならないように」という目的のためだけに作成していることも多く、
たとえば、固定資産と消耗品費の支出を行った場合、
資金繰り表には、その品目名と金額のみが記載されますが、固定資産の支出については、
損益に影響をおよぼさないということが理解できません。
したがって、多額の設備投資を行って支出が多い年でも、決算書を作成してみると、
最終利益が大幅に黒字になっていることがあります。
しかし、それを見た経営者は、
「これほど利益が出ているのに、なぜ資金繰りが厳しくなっているのか」
と首をかしげ、顧問税理士に説明を求めたりします。
ところが、質問された顧問税理士も、経営者が決算書を読む力がないことがわかっているため、
経営者に納得のいく説明をすることが難しく、結局、経営者が、「わかったようなわからないような」
状態で原因究明をスルーしてしまう、という結果になります。
これが、いわゆる「利益と資金の混同」の一例です。
ところで、余談になりますが、私が、これから起業を目指す人に、
「何から勉強すればいいですか?」
と聞かれた場合に、必ず答えているのが、
「簿記3級の資格を取ってください!」
ということです。
しかし、それを聞いた当人は、必ずと言っていいほど
「わかりました。それでは書店に行って、簿記3級のテキストを買って勉強します」
というのです。
それに対して、私は
、
「それだけは絶対やってはダメです。『簿記3級程度なら、書籍による自宅学習のみで十分』と
タカをくくる人が多いのですが、そういう人は途中でほとんど挫折します。
運よく簿記3級に合格しても、簿記の基本や体系的な理解が薄いから、実務では使えません。
『泳ぎ方の本を買ってきて、畳の上で泳ぎ方の練習をする』のと同じ結果になり、
実際に水に入ると、泳げないのと同じです」
「必ず、資格専門学校等の簿記3級の『通学コース』に申し込んで、
熟練した講師からしっかり教えてもらって勉強してください。
そして、わからないところがあればすぐに講師に質問して、理解するようにしてください。
これなら必ず、簿記3級は取れるし、実務でも使える知識・能力が身につきます。
期間はわずか2か月程度です。もし、どうしても専門学校等に通学ができないときは、
せめて簿記3級のWEB講座またはDVD講座を受講してください。
書籍による独学だけは絶対やめてください」
「さらに、可能であれば、同じ方法で簿記2級まで取ってください。
結果的に簿記2級に合格しなくてもいいので、簿記2級、それも商業簿記だけでも
資格専門学校等でしっかり勉強してください。
それが、後に経営者になったときに、必ず役立つ知識・技能になります。
高額の起業セミナーに参加するよりも、はるかに役に立って、
コスト・パフォーマンスも抜群です」
と答えることにしています。
簿記3級、さらに簿記2級レベルの知識があれば、決算書の理解も容易になりますし、
経営計画の策定や事業計画の策定も容易になります。
また、起業して間がなく、人を採用する余裕がない時期に、
経営者自らが会計ソフトに入力して「自計化」することで、
「仕訳」の切り方から「決算書作成」までの流れが「実感」として理解できるようになり、
その経験が、B/SやP/L改善の能力を高めることになるのです。
ちなみに、私の知人の金融機関出身の方で、
「決算書は読めるが、簿記は学んでいない」という方がいます。
この方は、B/SやP/Lの財務分析は得意です。
しかし、どの勘定科目をどのように改善すれば、B/SやP/Lが最適化されるか、
また、最適化された後のB/SやP/Lが頭の中で描けないのです。
これは、B/SやP/Lの作成過程である「簿記(仕訳の切り方)」を学んでいないからです。
経営者の最も重要な仕事は、事業活動の成果の写像であるB/SやP/Lの最適化であり、
そのための事業戦略思考です。
そこで必須になるのが、簿記の知識であり、決算書が読める能力なのです。
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