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執筆者の写真Homare Yamamoto

経営改善の進め方⑪ FCFが不足している場合

更新日:2021年3月21日

こんにちは。所長の山本誉です。

首都圏ではすでに春の陽気で、マスクを着けるのが暑く感じる季節になりましたね。

また、緊急事態宣言が今週末を終えたら解除されることとなりましたが、 感染者数はなかなか下げ止まらない状況ですね。 感染防止と、生活・経済の活性化の両立。 難しい問題ですが、私たち一人一人の責任ある行動が問われることにまりますね。


さて、前回は、経営課題を持つ会社のパターン別に分類における、

「FCF」の重要性について説明しました。 そこで、今回は、FCFが不足していることによる、

経営課題のパターン別分類について説明したいと思います。

(2) FCFが不足している場合


「FCFが不足している」場合には、

経営課題解決に向けて、経営課題別のパターン分類を行うことが有効です。


ここで、経営課題別のパターン分類を行う場合、分類項目としては、

「FCF不足」も含めた、「債務超過」、「収益力」、「過剰債務」の4つの項目により

分類を行うのが合理的です。


「手元資金残高」も重要な項目ですが、

上記4つの中に当てはまる経営課題があれば、会社に手元資金残高が十分にないことが多く、

また、「経営計画」策定にあたって手元資金残高を高めていくことは

「所与の前提」でもあるからです。


さらに、手元資金残高を分類項目に入れて、5つの項目によりパターン分類を行うとなると、

分類されたパターンが非常に多くかつ複雑となり、

パターン化そのものの意味が薄れてしまいます。


そこで、経営課題別パターン分類を行う項目に手元資金残高は入れず、

上記4つの項目の改善の中で、あわせて行うべきものとして話をすすめます。


さて、「FCF不足」、「債務超過」、「収益力」、「過剰債務」の4つの項目による、

経営課題別のパターン分類を試みた結果は下の図表のとおりとなり、

そのうち、経営改善を要するレベルのものは5つに分類されます。























① 「FCF不足」、「債務超過」、「収益力あり」、「過剰債務」(Ⅰ型)

Ⅰ型の企業は、過去の累積赤字が大きいため債務超過となっており、現在は収益力があっても債務超過を解消できるまでにはいたっていません。また、営業CFそのものがあまりでていないか、設備投資にかかる投資CFが大きいため、債務返済に必要なFCFが不足している状況にあります。


② 「FCF不足」、「債務超過」、「収益力不足」、「過剰債務」(Ⅱ型)

Ⅱ型の企業は、収益力が不足して債務超過状態となり、さらにFCF不足から過剰債務となり、債務が15年以内に返済できない状況にあります。債務超過状態であることから、利益が出ない赤字経営が続いていることを示しています。


③ 「FCF不足」、「債務超過」、「収益力不足」、「過剰債務なし」(Ⅲ型)

Ⅲ型の企業は、過剰債務はないものの、過去の累積赤字が大きいため債務超過となっており、収益力不足のためFCFが不足している状況にあります。


④ 「FCF不足」、「債務超過ではない」、「収益力あり」、「過剰債務」(Ⅳ型)

Ⅳ型の企業は、収益力があるため債務超過状態ではないが、多額な債務があるため、債務返済に必要なFCFが不足している状況にあります。


⑤ 「FCF不足」、「債務超過ではない」、「収益力不足」、「過剰債務」(Ⅴ型)

Ⅴ型の企業は、過去には収益力があったか、もともと純資産が大きかったため債務超過には陥っていないが、最近は収益力が落ち、借入金などの債務返済に必要なFCFも不足し、債務が過剰となっている状況にあります。


以上、経営課題のある企業につき、Ⅰ型からⅤ型までパターン分類を行いました。

特殊なケース(手形の不渡りや天災による被害など)を除くと、

企業が経営困難に陥り、経営改善が必要となる場合とは、

上記の5つのパターンに集約できるのではないかと思います。


なお、図表にある「経営改善不要レベル」のパターンは、

「債務超過だが収益力があって過剰債務がない」パターンか、

「債務超過ではなく過剰債務がない」パターンであるため、


結論として、「営業CFを高めるか投資CFを抑えることに専念」すればよく、

それは「キャッシュ・フロー経営」以前の、

「本業で利益を出す努力をする」あるいは「過剰な設備投資を控える」という、

「経営者の自助努力・判断のみに帰する」パターンであるため、

ここでのパターン分類からは除外することとしています。

ただし、本業で利益を出す手法についても、別途説明したいと思います。 【お知らせ】

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