こんにちは。所長の山本誉です。
首都圏は緊急事態宣言下、私も「巣ごもり」の在宅ワークの日が続いていますが、 春が近づくにつれて、羽を伸ばしてのんびり外出したい気分になりますね。
飲食店など、営業自粛を強いられている方々は本当に大変な状況とお察ししますが、 緊急事態宣言が解除され、通常営業ができるようになっていくことを心より祈念しております。
さて、今回は、「簡易経営分析表」の分析項目にある「借入金」について、
説明したいと思います。
●借入金の考え方
企業は、事業を始めたり、拡大したり、運転資金にあてるために、
金融機関から資金の借入を行うのが一般的です。
「無借金経営」が理想的であると主張される方もいますが、
それはケースバイケースで、私は単純にそうは思いません。
無借金経営というのは、自社の限られた手元資金だけで事業を行うため、
大規模な設備投資や事業拡大、多角化などに必要な資金が得られず、
資金繰りは安定しますが、事業の発展はなかなか望めません。
しかも、災害などの非常事態が発生して、
手元資金だけでは運転資金が不足するような状況になった場合、
普段から金融機関との取引実績・リレーションシップがないため、
融資の審査に時間がかかったり、場合によっては融資が困難になったりします。
そうした点から考えると、企業は金融機関からの借入金を適切に利用して、
事業の継続や発展を図る方が合理的であり、
また、少ない資本で大きな取引が可能になるため、効率的な経営ができるといえます。
しかし、その一方、借入金が過剰になり、返済ができなくなって、
会社が経営破綻してしまうケースも少なくありません。
そのため、借入金は、適切に有効活用するのが経営の重要ポイントになります。
それでは、適正な借入金の水準とは、どのように考えれば良いのでしょうか。
それは、借入金額そのものではなく、企業がその借入金を何年で返済できるかという、「返済年数」(償還年数)で判断するのが一般的です。
平成23年財務省・経済産業省告示第3号
「我が国の産業活力の再生及び産業活動の革新に関する基本的な指針」
によれば、借入金を10年以内に返済できか否かが、一つの判断基準とされています。
つまり、毎期事業によって稼いだ利益
(資金的裏付けのある利益:正確にはフリー・キャッシュ・フロー)により、
借入金を10年以内に返済できる状況が、財務内容の健全な企業とされているのです。
ただし、借入金を10年以内に返済できる企業というのは、
実際のところ、「超優良企業」であるといえます。
実務上の慣行としては、返済年数が15年以内であれば、
健全であるとみて差し支えないと思われます。
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